写真で綴る「第6回:外溝と植栽でつくる天然エアコン~水脈整備」

純chan

2016年11月23日 01:20

宝探しゲームの地図ではない
図解本日のお仕事である


本日の講師「庭匠(にわしょう)万草(まんぞう)」の高橋洋平氏と弟子

衣装さえ違えば院長先生と婦長さんである

「先生~今日の患者様ですぅ~」「うむ」




11/18(金)午後いよいよ昭和の家にて矢野智徳式「水脈整備と植栽」が始まった

午前中の座学では洋平師匠より

●植物の持つ気候調節効果について

●水と空気の視点から考える矢野智徳氏の手法

●僕なりの庭(自然)との向き合い方について

などなどを学んだ


知に走らずそして借りモノではない自らの経験から湧いてくる洋平君の言葉が参加者の心に染み入るとても豊かで優しい空気を醸す講義だった

洋平君でなければ出来ない多くの人に聴かせたい話であった




昼食後はいよい実技である

敷地の東西南北に別れて水脈整備


まずこれ建物南側の狭~い通路

シメシメと湿った土が踏みならされてイワヒバばかりが茂っている

これ東側

雨樋から地面へ流れる雨でここもいつもシメシメと湿って踏み固められやはり似たような植生

西側は隣の敷地が1m以上の土手に囲われているが南や東に比べるとまだふかふかとした良い土のようである

水脈の溝を掘るラインを指示する洋平君




東側を八重ちゃんがまさしく腰を据えて掘り始めました

う~ん安定感のある下半身が武器!

箸より重いものは持ったことがなさそうな詩子だがなかなかどうして堂に入った見事ながに股っぷりである


真理ちゃんえいっ!と穴を掘るも可愛い・・・


女子の黄色い歓声を得てますます勢いを感じさせるオトコ前田氏である


ガテンな現場も女子が居る風景は何故か美しい・・・


一方で東側は捕虜達の強制労働的空気が漂うのは何故だ・・・

息が合いすぎているのかはたまたそのファッションセンスの為か・・・

竹の根を切る師匠と弟子

見ようによってはゲートボールに夢中のぢさまと宙に浮く尊師(肝っ玉かあさんかぶりのふたりも気になる)

みんなの掘った溝をさらに丁寧に土をさらう師匠


溝の深さは幅と深さともに30cm前後とだいたいスコップの幅と深さである

溝は自然の川の流れに習い敢えて蛇行させることで流れの勢いをゆるやかに調整する効果を期待する

よく観察しその土壌によって適切な幅や深さを掘る

溝の流れの終点には深さ60~80cmの縦穴を掘り水が地下へ浸透していくよう導く



縦穴の中心には太さ8~10cmほどの竹を立てる

なんだろうこの波乗り体勢は・・・


竹の元末(もとすえ:根元とてっぺん)を見極めて根元を下にするんだよ

節を見ると幅広く白くなっている方が根元側だよ(この竹は黒くなってるけど)


地面から10~50cmくらいのところでカットしておく


節を抜いておき通気口とする




敷地北面は上下水道管やガス管などが多く地中に配置されているので縦穴だけで整備する





竹炭をまく


炭の小さな小さな穴は微生物が住まいとして好むのだそうだ
溝に有機物を埋める前にそれを御馳走として分解してくれる微生物さんの住まいを用意してやろう


地面が隠れるくらいがちょうどいいよ





ガラを入れる

ワークショップに先駆けてハツっておいたテラスのコンクリートの欠片も無駄なく利用します

そこにあるものを活かすのが矢野流!

ガラを入れたりして土の中に空間が出来ることで通気が保たれ水も流れるのだそうです

泥や水でミッチミチに詰まった土の中では空気も水も流れず微生物さんも生活出来ないので有機物の分解もされない不健康な土壌になってしまうわけです

水はけのワルい土地の上に建った木造の家は湿気たっぷりでシロアリさんがたにとって居心地の良い住まいになります
もちろんGKぶりさんやMカデさんにも人気!



ちなみに・・・・

「土の中に有機物を入れる」というそこだけ聞きかじってわたくし数年前に畑の畝に手首ほどの太さの剪定した木を埋めてみました

数年後ふたたび土づくりをしなおそうとして掘り返して見たところ埋めた木はどうなっていたでしょう・・・


ど~ん!と化石のようになって出てまいりました

水はけのワルい土の中で腐るどころか姿形そのままにカッチカチの冷た~い木になってましたがな・・・




ガラを入れる際には水が流れ込みやすいように溝の両側に立てるように並べます


護岸工事みたいねぇ


でも川底はふさながいでね





有機物を入れる

竹や木や枝などを入れていきます

まずは太い枝から(もちろん竹でもよろしい)


次に細めの枝を


この木や枝葉も水脈を流す方向つまり下流の方へそして地面の方へと根元を向けて枝を差し込みます
枝葉が万歳して手先から中心へ水を集めてくるわけね

かりやざき純子いけてます


縦穴の所では洗面台で水が渦をまくようなイメージをして差し込む枝葉もトルネードさせます



トルネード技術師(そんなもんあるのか)としては唯一の免許皆伝のわたくしが師匠の指名を受けてお手本を見せています



ワサワサとたっぷり入りました




埋めもどす

西の女子チーム埋めます


東で師匠も埋めます


大工のあきと君も埋めます


※注!:人は埋めてません



ここまでが1日目午後に行った水脈整備のようすです


人工的な排水を考えるとパイプを通してマスに導き公共の下水道へ導くというのが住宅地で一般的に行われている方法・・・

雨で地面がぬかるむからとか夏草が生えるとか落ち葉でタイヘンだからと言ってコンクリートで大地を塗り固めたりもしてしまいます

その場所で大地にしみ込まない大量の水は一気に側溝へ流れ込み都会では道路冠水などの被害を招きます

一度に大量に集まった雨水が引き起こす災害はそればかりではありません

防災の為にまた人工的な施設や設備をお金をかけて作ります



私達が行った水脈整備は人工的に水を通すのではなく自然の水脈のように「一体で働く空気と水」を通す方法

大地と生物(微生物から樹木や人間)と空気や水や太陽の熱などまでが相互に補い合い連動することで環境全体のバランスが保たれ保全し合うというもの
※~「風と水の流れに学ぶ庭づくり」杜の園芸 矢野智徳~ より


次回は土壌に空気と水の通り道を作ることと住まいの温熱環境を整えることに貢献する植栽についてレポートします

お楽しみに~♪










関連記事