2016年11月24日

第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」


これが「しがら土留め」だっ!
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」

サクッと調べてみますたところ・・・

かつては不安定な斜面や伐採後の山の斜面が雨水などで崩れるのを防ぐためによく用いられていたが現在ではノウハウを知る者も少なくなってきている・・・のだと!



ほぉ~~~っ!!!

今更ながら貴重な技術を伝授して頂いたようである



ん~だばその方法を写真で綴ってまいるぞ




場所は昭和の家西側のお隣との境界である

この家が建った時からず~~~~っと土留めもせずに来たが少しずつ少しずつ崩れる土で土地はややせり上がり水も家の方へ流れるというもの・・・

ここに土留めをして植栽をしようというのである



まず木の杭をカケヤ(鬼が持ちそうな金づちならぬ巨大な木の槌)で地面に打ち込む

「ここいらでどうでしょうねぇ」と柿の木と相談中の師匠
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」

「そんな足元にイヤですよ痛いじゃないの」と柿の木が言ったかどうだか・・・

ラインが決まり大澤親分が肝っ玉母さんかむりで渾身のひとふり
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」

半分くらいの所で選手交代どすこい嬢が渾身のひとふり(が軽そうである)
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」

椿の足元まで長さ6mほどもあろうか
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」




竹を割る

直径10cmほどの竹の半円を見極め鉈(なた)を入れる師匠(の独眼龍ヅラにシビレるっ)
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」

カケヤで鉈を叩き入れさらに深く鉈を入れてゆく
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」

割れ目からふたつに割いていく
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」
うしろの人~先生の話聴いてますぅ~?

コツは添えた手を割れ目中心に左右均等に力をかけて広げてゆくと左右が同じ大きさの半円に割けてゆく
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」

もしもどちらか一方が半円以上に大きく曲がって来てる感じがした時は小さくなってきている側を大きく外側へ引いて割いてやると調整出来るのである(確か間違ってないと想うが・・・)

だから一辺に割かずに具合を見ながら「良いあんびゃぁに」「ちっとらっつ」割いていくのである
※「よいあんびゃぁ」は「良い塩梅」そして「ちっとらっつ」は「少しずつ」という意味合いの函南及び三島地域の言葉であるby函南語普及委員会→詳しくは「いいら函南~函南語基礎講座」へどうぞ


竹の一節ごとに手を入れるように少しずつ割いていく
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」

綺麗にふたつに割れました
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」

ふたつに割いたものをまた同じ要領で二等分に割いてまいります
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」

鉈をすべらせるようにして節を落としてまいります
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」



「はい、では次にやってみたい人~」との声に参加者様を差し置いて真っ先に手をあげるのがそれゆけの主催者である(誰だけしからん)
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」
はい細身の鉈でとんとんとん♪と

始めの切り込みは刃先が踊って案外簡単ぢゃなかったわ

つま先を入れて半円を上下に引き裂いてもいいんだよ
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」

あぁ上手上手!美しいねぇ~~~
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」

この節ひとつひとつに違うおかずを入れてお皿にしたいっ
おひとり様一皿2m・・・いつかやるぞ昭和の家で!


人のやる事には危ないだ~のそれ大丈夫かだ~のと口出ししたい小姑根性丸出し顔で若いオネエちゃんの背後に迫る主催・・・
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」
くわばらくわばら・・・竹を割ったような性格に見えて案外そうでもないのである



割った竹を杭に編み込んでいく
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」

まず一番下の段から
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」

3段同じ波波にして4段目から変えます
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」
隙間が開かないように時々上からトントンしましょう

3本ずつ編む方向を変えて合計9段編みました
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」
このあと最後の段の高さに合わせて杭を打ち込みましたよ



竹の長さが次の杭まで足りないところはうまく考えて継いでいます

外へ飛び出しちゃうところはヒモで結んだりしましょう

出来るだけ長めの竹を用意しておいた方が楽ですね

裏側から見たところです
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」


始めにあらかじめ寄せて置いた土を埋め戻す前に竹垣の側へ竹炭を入れていきましょう
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」
炭の微細な穴が微生物の住まいになるのでしたね

まだお勉強していない人は過去の記事↓で学ぶとよい




南天が生えているのが見えますが南西の鬼門に植えると良いんですってよ

ちなみに柊(ひいらぎ)は北東の鬼門が良いそうですな



こんなふうにキワキワに入れていきますよ
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」

そしたらここでもまた剪定した木や小枝ここに生えていた竹笹などを・・・
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」
かりやざき純子が活けてまいります

今日のテーマはそこにあるものすべてを活かす矢野先生にちなんで・・・ALMONDE♪でございます

笹の葉達も生まれ育った土地に帰っていくわけでございます
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」
少々生き埋め感もございますが

それでは参列者のあきとさんから埋めてやって下さい
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」




さて「しがら土留め」が完了したところへ南の境界に大きく育っていた紫陽花を移植します
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」

大きな株は男衆数人でどっこいしょ
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」

師匠に習いあじさいの声に耳を傾けてみますと・・・

新入りの姫沙羅に土地を奪われ望まぬ移住を強いられたうえに手荒な扱いを受けている不満感が伝わってきます



こんな感じに出来上がりました
第6回「外溝と植栽~大地の再生矢野氏流しがら土留め~」

変化がついて楽しい場所になりました

湿っぽく陽も当らずあまり滞在したくない家の裏って感じだった西側・・・

ワークショップに先駆け物置も撤去され水脈整備も施されてホント風も通るようになり明るく感じます
(この日この写真ではまだ暗く湿っぽい感じがしますねぇ)

ホントに不思議と空気が変わった気がします

ベンチのひとつも置いてみたいような・・・

寒い季節に六畳の掘り炬燵からみかんをむきながらこの場所を眺めることを想像するだけでなんだかいいわぁ~





「しがら土留め」はそこいらにあふれている竹や木を材料に人力で手軽にできる伝統工法

月日がたって草木の根が張る頃には役目を終えてやがて土に帰る土留めである


ちまたでは人工林ばかりか竹林も人の手が入らず荒れている

間伐されない密集した杉の森と同じく降る雨がその地面に落ちず山の保水機能が失われ土砂崩れなどの災害を招いているという


重機の出動を待つまでもなく人の手で手軽に気軽に出来る自然な方法しがら土留め

コンクリートの壁よりもずっと自然な循環を妨げない生きとし生けるものに優しい人工物である

せめて個人の家の範囲でこういう方法を取り入れる人が増えるといいなぁ・・・


「しがら土留め」で検索してみた少ない情報↓ですがよろしければ参考までに・・・

伝統工法「しがら組み」による市民治山への取り組み

田村のゆめづくり協議会 ブログチーム

「しがら組み」を「新しい公共」モデル事業の中に

沼津井口造園のスタッフブログ


次回はわたくしたっての希望でありました「竹垣づくり~それゆけ四つ目垣~」のようすをレポートしますよ

乞うご期待っ!





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